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野村資本市場クォータリー 2015年春号
欧米におけるベイルインの導入状況と論点の整理
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小立 敬
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- 金融危機後、トゥー・ビッグ・トゥ・フェイルの終焉を図るため、納税者負担を回避し秩序ある破綻処理を実現するものとして、欧米ではベイルインがグローバルなシステム上重要な銀行(G-SIB)の標準的な破綻処理ツールと位置づけられ、次第にその具体的な枠組みが明らかになってきた。
- EUでは、域内の破綻処理制度の調和を図る銀行再生・破綻処理指令(BRRD)の成立を受けて、英国やドイツ、オーストリアがBRRDに基づくベイルインを2015年から1年前倒しで適用している。また、米国や英国、スイスは、G-SIBを対象に持株会社または銀行親会社にベイルインを適用するシングル・ポイント・オブ・エントリー(SPE)という破綻処理戦略を採用する方針を明らかにしている。
- ベイルインの枠組みや破綻処理戦略が明らかになるにつれて、法制度を含む制度的な枠組み、SPEを含む破綻処理戦略の選択、ベイルインを実施する期間の長さ、損失吸収力に関する新たな規制について、欧米各国の間で違いが生じていることも明らかになってきた。その結果、それらの組合せによっては破綻処理の結果は一様ではなく、債権者の損失負担の程度が異なる可能性がある。
- 同じSPEであっても、持株会社にベイルインが適用され損失吸収が行われる場合、業務子会社の債権者に損失は生じないが、銀行親会社にベイルインが適用される場合には預金者を含む無担保債権者に損失負担が生じる。また、英国やスイスは週末の間にベイルインを実施するため、短期間に推計された損失には不確実性を伴うが、米国は破綻処理の開始から数か月後にベイルインを実施することから、損失を確定させた後にベイルインを実施することができる。
- このような状況にあって、より具体的な破綻処理戦略が明らかになることは、破綻処理の結果の予見性向上に資する。株主や債権者にとっては破綻処理の結果が予測されることで、市場の混乱を回避し、秩序ある破綻処理の実現につながることが期待される。
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