|
|
|
|
野村資本市場クォータリー 2016年冬号
最終化された総損失吸収力(TLAC)の枠組み
−TBTFの終結を図る新たなG-SIB規制の概要−
|
小立 敬
|
|
|
|
|
- 金融安定理事会(FSB)は2015年11月、G-SIBsの破綻処理における損失吸収力および資本再構築力に関する新たな規制として、G-SIBsを対象に総損失吸収力(TLAC)の確保を求める規制の枠組みを最終化した。FSBは、TLACを銀行のトゥー・ビッグ・トゥ・フェイルの問題の終結にとって不可欠の要素であると位置づけている。
- 最低TLAC(外部TLAC)は二段階で適用され、2019年からリスク・アセットの最低16%かつレバレッジ比率エクスポージャー(分母)の最低6%、2022年以降はリスク・アセットの最低18%かつレバレッジ比率エクスポージャーの最低6.75%が求められる。日本のG-SIBsには、預金保険制度に係るコミットメントに関してリスク・アセット比16%の場合には2.5%と同額、18%の場合には3.5%と同額を最低TLACに算入することが認められる。また、G-SIBsの海外子会社には、母国親会社に損失を移すための内部TLACが要求される。
- TLAC適格商品の要件に関しては、バーゼルIII最低規制資本は最低TLACに含まれることからTLAC適格要件を満たすことになるが、投資家の損失負担を確保する観点から、追加的要件として破綻処理対象エンティティ(例えば、破綻処理戦略としてSPEが適用される場合は持株会社)から直接発行されていることが求められる。また、TLAC適格債務については、無担保や残存期間1年以上といった要件とともに、TLACから除外される一定の債務(預金保険対象預金やデリバティブから生じる債務を含む)に対する劣後性の要件を満たさなければならない。
- なお、G-SIBsが発行するTLAC(規制資本以外)に関しては、FSBの最終文書と同時に公表されたバーゼル委員会の市中協議文書の中で、銀行はバーゼルIIIのダブルギアリング規制の下、TLACをTier2資本と同様のものとして取扱うことが提案されている。
- TLACに関する次の焦点は、各国がどのような規制の枠組みを導入するかである。TLACに関しては、SPEかMPEかという破綻処理戦略の選択が規制の枠組みを定める重要な要素となるが、現時点では日本を含む多くのG-SIBsについてどのような破綻処理戦略が適用されるのかが明らかではない。また、TLAC除外債務に対する劣後性の要件など、各国がTLACタームシートの基準をどのように満たすかによってTLAC適格商品の性質が異なる点にも留意が必要である。さらに、FSBの最終文書はG-SIBs共通の最低基準であって、各国はそれを上回るTLAC規制を適用する可能性がある。今後、各国におけるTLAC規制の枠組みの具体化の動きに注目していく必要があるだろう。
|
|
|
|
PDF繝輔ぃ繧、繝ォ繧定。ィ遉コ縺輔○繧九◆繧√↓縺ッ縲√励Λ繧ー繧、繝ウ縺ィ縺励※Adobe Reader縺悟ソ隕√〒縺吶 縺頑戟縺。縺ァ縺ェ縺譁ケ縺ッ蜈医↓繝繧ヲ繝ウ繝ュ繝シ繝峨@縺ヲ縺上□縺輔>縲
|
|
|
|