特集:暗号資産革命の進展

米国における暗号資産ビジネスの進展と規制枠組み策定に向けた動き

橋口 達

要約

  1. 米国では、暗号資産市場が中長期的に拡大してきている中、機関投資家の需要に応えようとする金融機関の動きが活発化している。
  2. 米国最大手の暗号資産取引所であるコインベース・グローバルは、個人投資家向けサービスを主力とするが、ブラックロックとの提携等を通じて、機関投資家の顧客基盤拡大を図っている。
  3. 大手資産運用会社のフィデリティ・インベストメンツは、2018年にデジタル資産部門を立ち上げ、機関投資家顧客に暗号資産の投資機会を提供するだけでなく、他社との協働を通じて、自ら暗号資産業界を牽引しようともしている。
  4. 暗号資産市場が拡大する一方、不安定性もみられる中で、金融システムや投資家保護への影響を懸念する観点から、バーゼル銀行監督委員会や米証券取引委員会は、規制を強化しようという動きも見せている。
  5. バイデン大統領が2022年9月16日にデジタル資産の開発に関する包括的な枠組みを公表するなど、米国政府は暗号資産に関する省庁横断的な規制の策定に乗り出している。今後、先行する暗号資産ビジネスに規制がどのように対応していくか、あるいは規制の進展が暗号資産ビジネスにどのように作用していくか、注目に値しよう。