特集1:求められる高齢投資家対応

意思決定支援を受けた自己決定(SDM)の概念
-高齢者支援における追加的な選択肢としての注目-

林 宏美

要約

  1. 米国やカナダ、オーストラリア等の国々では、高齢者支援における追加的な選択肢の一つとして、意思決定支援を受けた自己決定(SDM)の概念が近年重視されるようになっている。サポーターが可能な限り高齢者本人の意思決定を支援し、本人によるスムーズな自己決定を可能にするというSDMの概念は、2006年12月に国際連合が採択した「障がい者の権利に関する条約(CRPD)」に端を発する。
  2. SDMに基づく自己決定は、(1)最終判断は高齢者本人、(2)裁判所は無関与、(3)サポーターの陣容や支援内容の変更等が可能、(4)サポーターはチーム制も取りうるし、支援内容に応じて別のサポーターを付けることも可能、といった特徴があり、後見制度と一線を画している。
  3. 米国では、2017年に「後見・保全その他の保護措置に関する統一法(UGCOPAA)」が制定されている。UGCOPAAでは、後見制度の利用を開始する前に、「より制約の少ない代替的な選択肢(less restrictive alternatives)」としてSDM等を検討すべきである、とされている。
  4. 少子高齢化社会の日本においても、高齢者支援ツールのラインアップ拡充の一つに、SDMの概念に基づく支援を含めることは、検討に値するのではないか。ニューヨーク州の事例では、SDMによる支援を利用しない場合に比べて、高齢者本人の生活の質(QOL)が向上し、より自立した生活を営むことになりうるという利点が指摘されている。また、地方自治体等の負担抑制につながる可能性も注目に値しよう。