特別寄稿
日本銀行による国債買入れの減額と国債管理政策上の対応課題
野村資本市場研究所 研究理事 齋藤 通雄
要約
- 日本銀行(以下、日銀)は、2024年7月31日に開催された金融政策決定会合で、同年8月以降、月間の長期国債買入額を毎四半期4,000億円程度ずつ減額し、2026年1~3月には3兆円程度とする旨を決定・公表した。
- この減額規模については、市場参加者の事前予想の範囲内であったことから冷静に受け止められており、国債の需給悪化懸念も足下では表面化していない。
- しかしながら、減額の影響は、日銀自身による説明ほど小さいものではなく、今後徐々に表れてくると考えられ、2025年度には、国債の消化に荷もたれ感が生じ、金利に上昇圧力がかかるなど、国債市場に変化が生じる可能性がある。
- 国債発行当局は、(1)減額される総額をどのように民間で吸収するのか(日銀に替わる買い手をどう確保するのか)、(2)年限別の需給の変化にどのように対応するのか(国債発行における年限構成をどうするのか)、という2つの側面で課題に対応する必要がある。